わが国において、国民の死亡原因の第一位を占めているのはがんであることはよく知られており、昭和から一環してこの傾向がみられるところです。その死亡者数は全国で年間に30万人を超えていることから、緊急な対策を打たなければならないという重要性のほどがうかがえます。がんは必ずしも不治の病というわけではなく、自覚症状があまりないような初期の段階で発見することができれば、手術や薬物療法によって回復するものもあります。例として、たばこの喫煙が主要な原因とされている肺がんについては、初期段階での発見により、その8割ほどが治療できるといわれています。
そこで、こうしたがんを見つけるためのがん検診を定期的に受けるということが、たいへん重要となりますが、国民のがん検診の受診率というのは、思いの外に低調となっており、特に少ない女性の乳がん検診や子宮がん検診などの場合には、その受診率は2割台にとどまっています。このことは国が毎年実施している国民生活基礎調査のデータから明らかとなっているもので、地域的にもがんに対する意識の高い都道府県と、意識の低い都道府県との差が浮き彫りになっています。こうした実態を踏まえて、国ではがん対策推進基本計画を策定するなどして各種の施策に取り組んでおり、それぞれの都道府県でもこの国の計画を受けて、同様に対策を実施しています。がん検診の無料クーポンの配布などの事業は、そうした具体的な施策の一環です。